変拍子の曲に対する憧れ、みたいなものがあります。
特に一時期ポストロック界隈の曲を聴き漁っていたとき、7拍子やら10拍子の曲を聴いて、予定調和を崩してくる心地よさに心酔していたのが主な原因だと思います。
自分の脳が勝手に思い込んでいたものをしれっと覆される感じが、たまらなく憎たらしくてゾクゾクするんです。
さらに言えば、気づくか気づかないか程度にさりげなく、予定調和への抵抗を試みているものが好きです。
みんながスマホをいじっている電車の中で、ひとり小説を読んでいる人とか。
ラーメンにバジル入れると案外美味しいと気づかせてくれたお店とか。
そういう、さりげない抵抗や、新しさへの挑戦。
その裏側にどんな意図や思いがあるのか真相はわからないにせよ、ちょっとした反骨精神のようなものを勝手に感じて密かに嬉しくなったりします。
音楽で言えば、変拍子はもちろんですが、不協和音をあえて入れてみるとか、理論的には進めないコードにあえて進んでみるとか、そういうさりげない挑戦をしている曲がとても好きだし、シンパシーを感じます。
あるいは、大きな流れから完全には逸脱できないのだけど、そのなかで少しでも新しいなにかを見つけようとするアドベンチャー精神に惹かれるのかもしれません。
流れを完全に変えてしまう革命も、流れに完全に従って抗わない順応も、どこか極端すぎて怖いなと感じます。
自分の理想や美学はあるけれど、大きな流れとそれの折り合いをつけながらなんとかやっていく、という在り方のほうが個人的には納得がいきます。
そういう在り方は、とても人間臭くて個人的にすごく信頼できるなあと思うから。
もちろん曲を作った当初はそんなことを考えてはいないので、この曲がそういった美学を体現できているかはわかりません。
でも、少なくとも弾いていてとても楽しい曲ではあります。
それだけでもいいな、とも思います。
【LIVE映像】To Next Period / Lupe